グランツーリスモ6/PS3リプレイデータで実走行エミュレーション

国際画像機器展2017で展示したデモのレポートを2回に分けて掲載します。英語版レポートは以下よりご覧ください。
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展示会では、CG走行映像と走行データ(CAN信号)を、同期転送するデモを展示しました。
今回のデモの趣旨は、高価なCGツールを使用しないで、グランツーリスモ6/PS3を使用して簡易的な走行シミュレーションを実行することです。
Vector社CANapeと弊社SVO-03とSVM-03は、既にご使用になっているお客様は多いと思います。
この環境があれば、安価な走行テスト環境が構築できます。

グランツーリスモで作成したCG動画と走行データを、CANapeとSVO-03を使用しFPDLinkⅢ&CANデータとして送り出せます。
データの受け側はECUですが、今回はCANapeとSVM-03で受け取っています。詳細は本文をご参照ください。

【デモ全体構成概要】
①映像データの転送:弊社のSVボードとVector社のアプリ(CANape)を使用しました。
②走行データの転送:Vector社のアプリ(CANape)とCAN転送用デバイスを使用しました。
③CG映像と走行データの作成:PS3のゲームソフトのリプレイデータを使用しました。
上記①~③構成とVector社のアプリ「CANape」を説明します。

①映像データの転送構成
PC間の映像データ転送は弊社のSVボードを使用します。使用したデバイス構成等は下図の通りです。

【使用したデバイス】
・SVO-03U&P (弊社ボード)
・NV021-A (弊社ボード)
・NV012-C (弊社ボード)
・SVM-03 (弊社ボード)
・PC (2台)

【映像データ転送構成】

【デモで使用した各SVボードの入力/出力規格】

・SVO-03U&P
HDMIの信号を取り込んでUSB3.0ポート、もしくはパラレルポートに出力するためのボードです。パラレルポートに出力するモードで使用し、NV021-Aへデータを転送します。

・NV021-A
パラレル信号を取り込んでFPD-LinkⅢ信号に変換するためのボードです。

・NV012-C
FPD-LinkⅢ信号を取り込んでパラレル信号に変換するボードです。

・SVM-03
パラレル信号を取り込んでUSB3.0ポート、もしくはHDMIポートに出力するためのボードです。USB3.0ポートに出力するモード(UVCモード)で使用し、PCへデータを転送します。

今回の構成ではSerDes変換(FPD-LinkⅢ)を行っておりSVM-03側を仮想ECUとしています。

②走行データの転送構成
PC間の走行データ転送はVector社のデバイスを使用します。使用したデバイス構成等は下図の通りです。

【使用したデバイス】
・VN1610 CAN Interface (Vector社, 2個)
・Vector CANcable 1 (Vector社)
・PC (2台)

・VN1610 CAN Interface
CAN高速トランシーバーです。
USB2.0コネクタとD-SUB コネクタを有しており、今回のデモではUSB2.0側をPC、D-Subコネクタ側を Vector CANcable 1へと接続して走行データの転送を行いました。

・Vector CANcable 1
VN1610 CAN Interface同士を接続する場合に使用します。

③CG映像と走行データの作成
2台のPC間で転送するデータはPS3のグランツーリスモのリプレイデータを使用しました。
映像データと走行データは別々の方法でPS3からPCに取り出しています。
映像データはSVO-03U&Pを使用し、走行データはPS3の標準機能とフリーソフトを使用しました。
転送するデータの形式は映像がavi、走行データがcsvになりますので変換方法も説明します。
データの取り出しに使用したデバイス・アプリ構成等は下図の通りです。

【使用したアプリ・デバイス】
・PS3
・グランツーリスモ6 (PS3ソフト)
・USBメモリ
・MoTeC社のデータ解析用ソフトウェア「i2 Pro」
(フリーソフト・URL:https://www.motec.com/i2/i2downloads/)
・SVO-03U&P (弊社ボード)
・PC
・NVCap (弊社のUVCキャプチャソフト)

【PS3から映像データを取り出すための構成】


【PS3から走行データを取り出すための構成と
i2 Pro画面】

○映像データの取り出し方
・あらかじめグランツーリスモ6でリプレイデータを作成・保存しておきます。
・弊社のSVO-03U&Pを使用してPCに映像データを送ります。※1
・PC側でNVCapを起動し、SVO-03U&P から送られてきたPS3の画面映像をavi形式で取り込みます。※2
これで映像データの取り出しは完了です。
※1:SVO-03U&PはHDMIの信号を取り込んでUSB3.0ポート、もしくはパラレルポートに出力するためのボードです。
今回はPS3から出ているHDMI信号を取り込み、FPGA等で処理を行い信号変換し、PCへと送ります。(UVCモードにて使用します)
※2:NVCapは映像をavi形式でPCに録画する事ができます。弊社ボードとアプリの詳細は製品添付のマニュアルをご覧ください。

左図は走行データ取り出しで使用するアプリ「i2 Pro」の画面です。
「i2 Pro」はグランツーリスモ6のオンラインマニュアル(https://www.gran-turismo.com/jp/gt6/manual/)にて走行データの解析用アプリとして紹介されています。 解析できる項目は速度やエンジンの回転数、操舵角等などのデータです。左図には表示されていませんがGPSデータなどもデータ化されています。本アプリを使用して走行データをcsv形式に変換します。

○走行データの取り出し方 ※3
・あらかじめグランツーリスモ6でリプレイデータを作成・保存しておき、PS3にUSBメモリを挿入します。
・「マイホーム」の「ギャラリー」を選んで決定します。
・画面左に表示される「リプレイ」の「ライブラリ」を選んで決定します。
・画面右側のリプレイのリストからデータ化したいリプレイを選んで決定します。
・リプレイ詳細画面が表示されたら、「MoTeC i2 ProデータをUSBメモリへ書き出し」を選んで決定します。
・データを保存したUSBメモリをPCに挿入し、i2 Proを起動し「Circuit Workspace」を選択します。
・左上のファイル>ログファイルを開く から先ほど保存したファイルを選択します。
・走行データが画面に表示されます(上図6の画面が表示されます)
・左上のファイル>データのエクスポートを開き、出力ファイルフォーマットをCSV Fileにしてエクスポートします。
・出力されたcsvファイルは先頭14行に不必要なデータがありますので削除します。
これで走行データの取り出しは完了です。
※3 USBメモリへデータを書きだすまでの項目はグランツーリスモ6のオンラインマニュアル内の「リプレイ」>「MoTec i2 Proデータの書き出し」 項目に同様の内容が記載されています。

■Vector社のデータ送受信用アプリ「CANape」について
データ送信用PCとデータ受信用PCでCANapeというアプリを使用します。
使用するアプリは同一ですが、プロジェクトファイルが送信側・受信側で分かれています。

○送信側
受信側にデータを転送するために映像データ(aviファイル)と走行データ(csvファイル)をCANapeに読み込ませます。
下図は送信側のCANape画面です。

グラフィックウィンドウ:csvデータ内にある速度やギアの状態などのデータをグラフ化しています。
書き込みウィンドウ:CANapeの動作履歴が確認できます。
トレースウィンドウ:送信しているCanデータを確認できます。
マルチメディアウィンドウ:送信している映像が表示されます。

○受信側
データ読み込みデバイスをSVM-03に指定し映像を受信します。下図は受信側のCANape画面です。

マルチメディアウィンドウ:受信している映像が表示されます。
パネルウィンドウ:受信した走行データのうち、速度とエンジンの回転数を可視化しています。
書き込みウィンドウ:CANapeの動作履歴が確認できます。
グラフィックウィンドウ:受信した速度やギアの状態などのデータをグラフ化しています。
トレースウィンドウ:受信しているCanデータを確認できます。

○映像データと走行データの同期について
送信開始タイミングでaviとcsvの頭出しを行う事で同期しています。
今回のデモでは映像に合わせて速度メーターが動く事を確認できました。

今回のデモで実際に使用したボードなどの全体構成は左図の通りです。

本デモで、PS3で作成した走行映像・走行データをPCへ取り出し、PCからPCへと転送する事ができました。
受信側をECUに変える事で、CG映像と走行データを低コストでECUに入れる事が可能になると思います。

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